盆栽道具 手打ち鎬付き小枝切鋏 (兼進作) 全長160mm No.34F
全長 : 160mm
刃渡り : 46mm
手打ちの鋏です。
盆栽職人さんからの要望で、No.34Dをもとに作成し、刃を長め、厚めに作成しました。
これにより、全長は短いですが、その分扱いやすく、刃が長いため、奥まで届きやすくなり、
刃が厚めに作成されておりますので、丈夫に仕上がっております。
1本の鉄の棒から、作成している完全手打ちの鋏です。
日本古来から、伝わっている日本刀の製造方法で柔らかい軟鉄に固い鋼を組み合わせ、「硬さ(硬度)」と「粘り強さ(靭性)」を兼ね備えております。
鋼は、安来鋼(やすぎはがね)の白紙(しろがみ)を使用しております。
安来鋼とは、鳥根県安来市にある日立金属株式会社の安来工場で生産された鋼を指すします。古来より日本刀の鋼である玉鋼の産地として有名です。
刃物鋼によく使用される安来鋼の種類には青紙(あおがみ)、白紙(しろがみ)、黄紙(きがみ)がございます。
鋼の質を分別するため、仕上がった鋼に色のついた紙を貼ったことから、このように呼ばれております。
青紙は主に刺身包丁、白紙は主に出刃包丁に使用されております。
お刺身は、包丁の切れ味によって、味に微妙な変化をもたらすため、刺身包丁にはより、欠けにくいより硬度が高い青紙が使われております。
逆に出刃包丁は、魚の固い骨も切断するため、微妙に欠けやすい(見た目にはわかりません。)白紙を使っております。硬度の高い青紙を使用すると滑ってしまいます。
そのため、この鋏では、枝も切りやすい白紙を使用しております。
*余談になりますが、戦国時代 新品の刀では滑ってしまうのとことで、わざと砂山に新品の刀を何度も出し入れして、刃を傷つけていたとのことです。
■鎬(しのぎ)とは?
鎬(しのぎ)とは、刀剣の「刃」と「棟」(むね:刀剣の背の部分)の間を刀身に沿って貫いて走る鎬筋(しのぎすじ:角が付き高く山のようになっている部分)を指します。
鎬(しのぎ)を削るという言葉があります。
刀同士で打ち合うと、薄い刃同士ではすぐに欠けてしまいます。激しく打ち合うには分厚く作られた鎬筋を合わせて戦ったのです。
激しい戦いの際は、鎬さえも削れてしまうことから、「鎬を削る」とは、激しく争う様子のことを示す言葉として、使われるようになったとのことです。
盆栽用の鋏で鎬を作る理由としては、鎬を作るためには片側(刃がついていない方)を削らなければなりません。
それを削ることによって、刃先が細くなり、細かい部分にも入っていけ、作業がしやすくなるためです。
下記のハサミA(鎬なし)とハサミB(鎬付き)との比較画像を見てみるとハサミB(鎬付き)の刃が細くなっているのがわかります。鎬を作ると角ばったところもすくなくなり、盆栽を傷つけることも少なくなります。